社会福祉法人 尽誠会

《蔵出し医療談義(1)》

=医療人脈回顧録(序章)=

 

自分自身も既に65歳を過ぎて、初老期(前期高齢者)と呼ばれる世代に突入し、寄る年波には到底抗えぬままに、いつの間にか流行言葉ともなっている文字通りの「SARCOPENIA※1」に陥り、さらにはお決まりコースとなる「FREILITY  CYCLE」 則ち全身的な虚弱状態(低栄養&低活動)に伴う廃用症候群に入らんとするところであります。

図1 サルコペニアとは?

湧永製薬 様より画像引用[ http://www.wakunaga.co.jp/health/month/post_116.html ]

※1: SARCOPENIA
サルコペニア(sarcopenia)とは、加齢による骨格筋量の低下と定義され、副次的に筋力や有酸素能力の低下を生じる。 筋肉量の低下を必須項目とし、筋力または身体能力の低下のいずれかが当てはまればサルコペニアと診断される。

図2 悪循環のフレイルサイクル

医療法人 すこやか会森近内科 様より画像引用[ http://morichika.fmed.jp/health-knowledge/frailty.html ]

 

今にもお迎えが来たりて昇天-成仏し、三途の川を渡って、逝ってしまいそうな予感の中で、人生の勝ち組を想定していたつもりながらも、盛者必衰の理を認識し直しつつ、この世の哀れを感じてしまうようなお年頃になってきたようです。そうした体調不良を自覚する中で、自分の実践してきた医療の原点を振り返りながら、その来し方を見直すことにより、ちくとセンチメンタルな気分で、今回の蔵出し回顧録のような話題を綴ってみました。

私が目指してきた究極の医療の形は、「予防医療」であります。東北地方(ここ岩手県)に予防医療の聖地があるのを御存知でしょうか。岩手県奥羽山脈中に位置する「沢内村」という寒村で、地域保健予防活動の走りともいえるような「増田進」先生による極めて挑戦的な地域医療実践により、町民の医療費を抑え込む取り組みに成功して、町の財政立て直しに貢献できたという伝説です。

結果的に病院受診が必要となるような患者(住民)さんが極端に激減してしまったが為に、沢内病院という自治体病院自体の経営破綻をきたしてしまいました。逆説的な展開による皮肉な顛末を辿って、病院自体が崩壊・消滅してしまう事態に追い込まれたというケースなのです。

地域内のドライブインに聳え立つ象徴的かつ巨大な厄除け藁人形に護られて、今では「西和賀町さわうち病院」と名を変え、この雪深い寒村を支える地域の基幹病院として再興・復活を遂げています。健康な住民が増えた為に、逆に医療機関が衰退する羽目に陥ったという逆説的かつ数奇な運命に翻弄されたた地域医療の現場ではありますが、今に語り継がれて、地域保健活動がもたらしてしまった「負の遺産」を象徴する教訓となっているのです。

南部地方に赴任して間もない時期に、沢内村探訪に赴いて、地域保健活動の貴重な遺構を検証したことを記憶しています。