《よもやま世間噺(11)》
=帝政ロシアの再興
(プーチン帝国新興)と
ウクライナ侵攻=
今般、話題の渦中にある国際問題がロシアによる隣国ウクライナへの軍事侵攻によって、先制攻撃が為され、戦闘状態(戦争)が勃発していることでしょうかね。極めてタイムリーな話題といえるテーマに言及してみたいと思います。元来ソビエト連邦に属していた地域としては、内紛との捉え方だってありますが、直接的にはウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟の動向を阻止する動機付けが、表面化しています。ウクライナの民主化阻止(EU編入阻止)を図る目的なのでしょうね。背景にはその他にも複雑な歴史的経緯が潜在しているようで、微妙に絡み合っているというのが実情といえます。1990年代に端を発したと云われるリーマン・ショックによる世界経済不安から波及したロシアの国家資本主義の破綻も関係しているみたいです。
従来、厳つく陰険極まりない風貌で、見るからに悪役然としたプーチン大統領の本性が顕在化してしてきたのだともいえるのでしょうね。KGB(国家諜報機関)出身の為政者であるプーチン大統領は、ただでさえ陰鬱さを滲ました厳つい見てくれではあったものが、此処に至って世界的に悪名を轟かせる存在と化してからというものは、マスメディアで攪拌される姿といえば、一段と陰険極まりない出で立ちに磨きが懸かった印象を漂わせているようです。KGB時代のスパイ活動中にベルリンの壁崩壊の現場に遭遇した衝撃体験やらエリツィン前政権下でのソビエト連邦崩壊という政変の体験等も、プーチン帝国形成の要因だといわれます。停戦調停交渉が続けられてはいるものの、解決に向かう気配は一向に無く、ウクライナのゼレンスキー大統領からの話し合いの呼びかけにも応じる意向は無さそうで、さらに泥沼に嵌まりそうな様相を呈しています。NATO自体が絡んでくるような事態に発展すると、チャンコロ(中国)&露助(ロシア)連合軍vs西欧諸国&飴公(米国)連合との世界大戦にまで拡大かねない危機すら孕んでいます。核戦略を匂わせるプーチン大統領の発言に至っては、終末思想すら語られる中で終末時計が動き始めています。日本とて反対声明を掲げ、首相による非難や経済制裁への参画等により、両国関係に緊張が昂まってきて、かねてよりの北方領土問題も棚上げの状況に後退しています。
戦時態勢の影響は世界中の様々な生活分野にまで波及しており、石油や天然瓦斯等の燃料資源供給の不足だけに留まらす、食料危機まで浮上しており、ブラジルでは肥料の供給も滞っていると報道されています。脱炭素と脱ロシアの両立は難しそうで、石炭火発電の再燃もやむを得ないとの発想すら持ち上がってくるまでの有様と堕してきています。小麦を始めとする食料危機も深刻な現実として表面化してきています。
遡れば帝政ロシア時代にはウクライナ地方は穀倉地帯として重宝されており、連邦発足と同時に、時の支配者スターリンにより連邦の構成員に強制的に組み込まれてしまい、飢饉による犠牲者(300万人超)をも顧みず、同胞同士で監視しあう恐怖政治の残虐の限りを尽して、2,000万人程の民衆の犠牲者を生んだといわれる非道極まりないスターリン支配の下で、搾取される中での民衆の抵抗からソビエト連邦崩壊のきっかけが始まったのだとも言われています。粗暴な夫の悪政を諫めんとスターリンの愛妻が自らの命を賭けて眼前で命を断つ(拳銃自殺)抗議を図ったとのエピソードも遺っています。ソビエト連邦建国の父といわれるレーニンからの評価も低く、粗暴かつ統治には危険な存在だと見做されていたと伝わっています。またロシア革命の際の英雄とされるトロツキーさえも追放の策略を巡らして、亡命先のメキシコで暗殺されるに至りました。
一方チェチェン紛争の謀略(内戦)の内幕を 世界に暴露した諜報員も、プーチン政権下でイギリスの病院入院中に暗殺(ポロニウムによる毒殺)された事件も、記憶に新しい出来事です。
ロシア正教会による愛国心を誇張する布教活動の成果と見做されると共に、避難民の逃げ道を誘導する目的の「人道回廊」の設置も、宗教活動の為せる功徳でしょうね。国連事務総長も調停に乗り出した気配はあるものの奏功なく、いつの間にか自然消滅した気配の中で、国連安保理事会とて常任理事国のロシア&中国vs米英仏の対立構造が顕在化する情況では、当面のところ期待をもてそうにありませんね。
目の離せない世界の極度の緊張を招くような危機的状況が、タイムリーに展開している中で、呑気に構えて酒肴に供し、傍観していてもいいのでしょうか。水滸伝的なテロリストを気取る端くれとして、巨大なロシア帝国による謀略的侵略行為に徹底抗戦すべく、ウクライナの戦場に馳せ参じたい衝動に駆られている昨今の心境を持て余しながら、熱い血のたぎりに悶々としています。